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「六義  コレクション帖」  1 デイアスキンとコレスポンドシューズ


 「コレスポンド フルブローグ(スワンネック)」  六義
designed and directioned by R.Hanakawa   crafted by T. Okubo



「六義  コレクション帖」  1 デイアスキンとコレスポンドシューズ_d0004856_0213580.jpgコレスポンド(コンビ)シューズというのは、数ある男の靴のなかでも、最も ダンデイズムを匂わせる 「一足」 といえるのではないか。

変っていて、目をひくけれども、これは、黒のオックスフォードと同様に まごうことなき、男のクラッシック シューズだ。由緒正しき 靴なのだ。

この靴を、ひと目 見ただけで、30年代の優雅なリゾート地、例えば ドーウ”イルの競馬場とか、白いホワイトフランネルのスーツとか、モンテクリステイ製のパナマ帽とか、、そんな贅沢なシーンが思い浮かぶ。 そういう靴は、他にはないでしょう。

名だたるダンデイ達が この靴を愛用した。フレッド・アステア、ダグラス フェアバンクス JR、スコット・フィッツジェラルド、、、、これだけでも、その由緒正しさは窺い知れる。

ダンデイ達の靴コレクションには、必ず、用意されいた贅沢な靴。  或いは、贅沢な生活を象徴する靴。

それなのに、いまや、この靴を見かけないのには、それなりの理由がある、、、、


「白い 宝石?」

この靴で重要なのは、カーフとのコンビにつかわれるホワイト デイアスキン(白い鹿皮)で、 これは、あくまで純白の、それも ビロードのように滑らかな上等なモノでなくてはならない。それ以外は、残念ながら、本物とはいえない。

ところが、このホワイトデイアスキンというのが、ヤッカイで、いまや入手困難を極めるものなのだ。

無イ といわれれば、欲しくなるのが男で、 ダンデイで知られる俳優のテレンス・スタンプは、最上等のホワイトデイアスキンを手にいれるのに、数年間を費やしたという。それも、80年代のことだ。
何年待っても、思うものが手に入ればイイガ、事情は、年々、悪化している。 

多分、ロンドンの老舗といわれる靴屋、イヤ 世界中の注文靴屋においても いまや、コレを常備しているところは珍しいのではないか。注文しても、この純白の鹿皮のおかげで断られるケースが多い。或いは、オフホワイトあたりでごまかすことになる。

いまや、それほど貴重なモノになってしまった。

鹿皮そのものが、品薄になってきたこともあるが(とくに良質なものは)、とくに、ホワイト(白い)が手にはいりにくいのは、 それが、本来の鹿皮の色だということがある。(鹿皮というのは白いのダ)
、、、白く染められるわけではない。つまり、ホワイトデイアスキンは、鹿皮そのものが良質で、傷がないもの、汚れがないものでなければならない。他の色と違って、染め加工でごまかせず、その白さゆえ、汚れやすく、扱いにくい。鹿皮は、本来 耐久性に優れたものだが、柔らかいので、作り方にも多少のコツがいる。靴屋にとっては、ヤッカイな代物というわけだ。

加えて、世界的なドレスダウン化と、男の贅沢な生活スタイルというのが、変ってしまった。あれほど、ダンデイ達がこぞって愛した靴は、頼む人も少なくなった。悲しいコトダ。

その結果、いまや この靴の あるべき正しいスタイル - パターン、デザイン -を知る靴職人も少なくなった。(これは 残念ながら 男の服を知りつくしているテーラーが 少なくなったのと同様だ)、、、これまでも、需要と供給のバランスで、 男に必要だった多くのエレガントなものを、私たちは失くしてしまった。、、、
これは、本来 ボート競技から生まれた 「スポーツ」シューズなので、単に、普通のフルブローグをコンビに置き換えれば良いというものではない。

本物のコレスポンドをつくるには、おおげさにいえば、男っぽい優雅さを理解する美意識が必要だと思う。同様に、これを 履く男にも 、、、、



「クラッシックである という 優雅さ」

今回は、いまや面倒で、あまりやる人もいなくなった クラッシックなパターンとラストを採用してみた。 ウイングの形、スワンネック、スワンネックの頂点からつながる履き口のバンド、パーフォレーションは、あえて最も正統的でクラッシックなものを、、、

そして、ラストは、かなりアナトミーな、立体的で、複雑な曲線を描く男っぽい クラッシックラスト、、、


一番気を使ったのは、それぞれのバランスと分量だ。優雅で、かつ、あくまで男っぽく仕上げること、つまり、男の服に、素直になじむことだ。(良いスーツと いっしょで 優れたモノは いかに複雑で、凝った仕事をしていても 目に素直に映るものなのです。 実は、これが、一番難しく、 技術と、一歩上の健全な美意識を必要とする。)

 
この靴には、 エレガントなリゾートスタイルが、よく似合う。 トープ色のギャバジンで仕立てたクラッシックな ダブルブレスッテッドスーツ、 或いは、シンプルに、サージの紺のブレザーに ホワイトトラウザーズ、、、、、これほど、男の洒落心を刺激してくれる靴もめずらしい。




anytime, you would like to,,,,,,(要予約)

六義 銀座

東京都中央区銀座一丁目21番9号 箱健ビル1階
電話 03-3563-7556





copyright 2005 Ryuichi Hanakawa
by rikughi | 2005-04-17 00:21 | 1. コレスポンデントシューズ


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