パトリス・ルコント監督に「言葉、或いは会話(エスプリ)」を題材とした、興味深い作品があります。 田舎の貴族が、領民の苦労をみかねて、沼地の干拓費用を陳情しに、ベルサイユへと向かう、しかし、そう簡単に陛下の謁見など 田舎者に かなうはずもない。 そこで、遠縁の貴族に、先ずは社交界への紹介を頼む。頼まれた、冴えない、その貴族は、不承不承、聞き入れるが、「社交界では、エスプリというものが 大事なんだよ。 田舎出のお前に、それができるとは思えんがね、、」 ところが、田舎貴族には、生来の 類まれな「エスプリ」の才知があった。 周囲に、ねたまれつつも、評判を呼び、ついには、陛下の謁見を賜るのだが、、。(後のストーリーは、映画を見てください。残念なのは、翻訳がチョット、、、ー日本語に訳すのも難しいとは思うのだけどー 、そのせいで、実際の会話のエスプリの面白さが半減しています。) 「エスプリ」というのは、会話のなかで、ユーモアを含んではいるけれど、チョット、毒のある切り替えしをする。ーといったところでしょうか。 簡単に言えば、「意地悪」とみせかけない、「いじわる」。それの、ウイットある表現。 周囲の笑いを誘うが、その的になった当人は、うまく、これも エスプリを持って、切り返せなければ、なんだか、負けた気分になる。、、、いかにも、パリ風でしよう。 対して、 ユーモアというのは、逆境の状況でも、それを笑いの種として、周囲をなごませるもの。 ひとつ、試しに、ヤってみましょう。 、、、 (ちなみに、これは実話です。) 子供が、友人たちと、川でボート遊び をしていた。 あんまり夢中にハシャイだので、気がつくと、腕にはめていたはずの時計がない。 それは、この間、父親にもらったロレックスのボーイズサイズだった。「父さんは、 上等なんダゾといってたのに。」 子供は、半泣きになって、家に帰って、恐る恐る、父親に言った、 「ゴメンなさい。 パパにもらった時計を、川のなかに落として、なくしちゃった、、、」 父親は、一瞬、驚いた顔をしたが、 こう言った、 「心配スルナ。アレは、防水だ。」 ボニは、フランス貴族には 珍しく たくましいユーモアのセンスの持ち主だった と思う。 それは、彼の後半生を みればわかる。
by rikughi
| 2005-03-24 23:16
| ボニ・カステラーネ侯爵 3.
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