彼は人を感動させ、感激させたというよりも、驚かした。 とりわけ、驚かしたのである。 (ボードレール 「エドガア ポオ 雑稿」より) 「UNNOTICE」 「男の服装は、UNNOTICE(目立たない)であるべきだ。」 ボー・ブランメル以来、コレが、紳士の服装の不文律とされている。 ハタシテ そうなのかナ。 思い出して欲しいのは、この時代の宮廷の男たちの服装というのが、例えば 真紅のコートに緑のウエストコートという風に、かなり華美であったということだ。なかにはダイヤをちりばめた衣装をつくる者までいた。 それゆえに、ブランメルが提唱した、「UNNOTICE」=黒づくめに白いシャツという服装は、その時代においては、ひとつのアンチテーゼであり、充分にショッキングで、革命的だった。 そして、革命的という もうひとつの理由は、「UNNOTICE」という言葉が、服装を鍵として、紳士(男)の「あり方」を定義してしまった感があるからだ。 服装史においても、このコンセプトの登場から女性服と男性服との区別が、より明確になってきたとも思えるし、 男は目立たぬ「趣味の良さ」を追求し、女性は「美」を追求するという、社会化された常識が定着し始めたようにも考える。 おかげで、地味だが仕立ての良い服こそ「男」の装いだというトラウマに、男たちは閉じ込められ続けることになるのだが、、、。 「ダンデイズム」というのは、オスのライオンの鬣(たてがみ)のようなもので、メス(女性)や他の動物(自分以外の男)と自分を「区別する」ことに意味がある。美しいけれど、余分なもので、見方によっては、ときに痛々しい。 ブランメルの「UNNOTICE」も、いまの時代の捉え方とは、少し違って、その時代の華美な服装のなかでは、充分に自分を他者と「区別する」もので、それを意図したものと窺える。 しかし、ブランメルの本来の個人的意図はともかく、いまや「UNNOTICE」というのが男の服装の良識となってしまったのは事実だ。 「VISIBLE」 その 「良識」の一方で、陽気で 「VISIBLE」(目立つ)な装いを楽しむダンデイ達がいる。 こちらの方が、本来の意味では、ブランメルの子孫といえるだろう。 ボニのスタイルは、「VISIBLE」であった。しかし、「Loud」(派手)ではない。 この項つづく contact 「六義」 中央区銀座一丁目21番9号 phone 03-3563-7556 e-mail bespoke@rikughi.co.jp copyright 2005 Ryuichi Hanakawa
by rikughi
| 2005-03-29 00:28
| 「ダンデイというスタイル」
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INDEX プロローグ 「ダンデイというスタイル」 1. スタイル ボニ・カステラーネ侯爵 1. ボニ・カステラーネ侯爵 2. ボニ・カステラーネ侯爵 3. ボニ・カステラーネ侯爵 4. 「私のワードローブから」 1.ソックスをめぐるダンデイズム 2.美しいシャツ その壱 3.美しいシャツ その弐 4.タウンスーツ 「百歳堂 散策日誌」 ウイーンの仕立て屋 モンマルトルの恋人 京都のお化け ニューヨークのダンデイ 「六義 コレクション帖」 1. コレスポンデントシューズ 2. 「フィッテイング」 3. 「プレイドスーツ」 「男の躾け方」 1 「洗濯」 2 「睡眠」 3 「磨く」 4 「捨てる」 5 「友人」 「大人の お伽噺」 1.本物の金持ち 2.スノッブ 3.プレイボーイ その1 4.プレイボーイ その2 「百歳堂 交遊録」 「日々の愉しみ」 1.シャツとネクタイ 2.旅支度 3. My Favorite Shop 私家版・サルトリアル ダンデイ 1.19世紀と20世紀 その壱 2.19世紀と20世紀 その弐 3.19世紀と20世紀 その参 4.荷風と鏡花 「江戸趣味」 ■ 愛人 「愛人」 Ⅰ 「愛人」 Ⅱ 「愛人」 Ⅲ 「愛人」 Ⅳ 「愛人」 Ⅴ フォロー中のブログ
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